CRITICISM

平和は戦争にうち克つ[ウィーン諸国民平和会議に寄せた公開状]

パブロ・ピカソ|アンリ・マティス

『新日本文学会』編集部

Published in October 10th, 1952|Archived in April 3rd, 2024

Image: “DDR's Dove of Peace”, based on Pablo Picasso’s “Die fliegende Taube” in 1950.

CONTENTS

TEXT

EXPLANATORY|SPECIAL NOTE

本稿は、「ウィーン諸国民平和会議(Congress of the Peoples for Peace Vienna。主催は世界平和会議〈World Peace Council〉)」(開催期間:1952年12月12〜19日。参加国:85か国。参加者:1857名)の開催にあたって、パブロ・ピカソとアンリ・マティスが寄せた公開状である。
ピカソの著作権の有無については一部に議論があるが、本稿が公的な会議に寄せた公共的・形式的な内容をもち、国内外の報道機関が報道した経緯があることに鑑みて、ARCHIVE編集部は、著作権の制限事例に該当すると判断している。
原則として原文ママだが、一部漢字にルビを振り、旧字を新字に、「マチス」を「マティス」に、「つ」を「っ」に、「縮少」を「縮小」に変えた。
底本の行頭の一字下げは上げた。
平和会議については、山田のぞみ「戦中・戦後日本彫刻におけるリアリズムとヒューマニズム:本郷新を中心に」(2022年)および長島祐基「平和擁護運動における討論集会の形成(1952 - 1953 年)」(2017年)に詳しい。

BIBLIOGRAPHY

著者:パブロ・ピカソ(1881 - 1973)著者:アンリ・マティス(1869 - 1954​​)訳者:『新日本文学会』編集部
題名:平和は戦争にうち克つ[ウィーン諸国民平和会議に寄せた公開状]原題:平和の精神は戰爭の精神にうち克つであろう
初出:1952年10月10日
出典:『新日本文学 第八巻第一号』(新日本文学会。1953年。5ページ)

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ウィーン諸国民平和会議よせるマティスとピカソの公開状

平和の精神は戦争の精神にうち克つであろう
 
平和のために働く友人諸君、
 
われわれは、あらゆる立場の人々が平和問題に関して自由に討議する会合をもとうとしていることを知って、 欣快 きんかい にたえません。
 
われわれは、緊迫した国際関係の緩和を望む点において、これらの人々と完全に一致しています。
 
軍備縮小は大国間の商議によってもたらされるべきであって、武力の誇示によってもたらされるべきではありません。
 
われわれは、諸国民及び諸国民によって選ばれたそれぞれの政府の間の相互尊重は、平和への道をおしすすめるものであることを確信します。またわれわれすべてにとってもっとも大切なものーー平和ーーを保持するためには、威嚇より討議の方が有効だと考えます。
 
あらゆる人々の協同の努力によって、平和の精神は戦争の精神にうち克つであろうことを深く信じて、われわれはあなた方の会議の成功を心から祈ります。
 
   一九五二年十月十日
 
〔以上は、マチスとピカソが、ウィーンの諸国民平和会議の支持を表明した公開状です。〕