《夢》に寄せた詩(1910年)
美しい夢見ながらヤドヴィガは、
柔らかにまどろんでいる。
幻惑者の一心不乱に奏で出す
風笛 の音が聞こえて来る。
花と、緑の樹々の間に、
月の光は照り映えて、
楽器の奏でる妙なる音に、
鹿子色 の蛇が耳を傾けている。
《自由の女神》に寄せた言葉(1893年)
おお、自由よ。仕事によってフランスの栄光と偉大を築こうとするすべての者のために、常に先達であれ。
ギヨーム・アポリネール宛の手紙(1908年)
(前略)あなたの肖像を描くに当たって、是非ともお打ち合わせをしたいと思うのですが、来週のなかば頃に来てください。今度の肖像画は等身大に描くために、あなたの身長やその他の体の部分部分の寸法を計る必要があるのです。背景はリュクサンブール公園の一角にするつもり。必ず立派な作にすることができましょう(後略)
レオニー宛の手紙(1910年)
『アトリヱ』誌編集部より:ルソーが64才のとき、老 寡婦 レオニー(54才)を熱愛し、あらゆる求愛の努力を傾けたが徒労に帰した。以下はレオニーに宛てた書簡。
(前略)あなたは私がなんの価値もないように言われるが、もし私があなたの同棲者として価値がないとすれば、一体その責はだれにあるのですか。(中略)キリストは「すべての草木といえど無用なるものとしては創られず」と言っています。私たちはしかも生み殖やさなければならぬのですが、お互いの年齢ではそのことは考えなくてもいいでしょう。結婚しましょう。それによって、あなたは私がどんなにあなた自身によって有意義かをお知りになりましょう。どうか私をそう冷酷に扱わないでください。私の胸を引き裂くような思いをさせないでください。なぜそのような行為をなさるのでしょう? いや私はそのわけを承知しています。私たちは愛しているからです。