LITERATURE

遺書[2通]

宮沢賢治

 

Published in September 21st, 1931|Archived in May 9th, 2024

Image: Miyazawa Kenji, “Fragment 3”, Unknown.

CONTENTS

TEXT

EXPLANATORY|SPECIAL NOTE

原文ママ。

BIBLIOGRAPHY

著者:宮沢賢治(1896 - 1933)
題名:遺書[2通]原題:「393 九月二十一日 宮澤成次郎・イチあて 封書」「394 〔九月二十一日〕 宮澤淸六・岩田シゲ・宮澤主計・クニあて 封書」
初出:1931年9月21日
出典:『校本宮澤賢治全集第十三巻』(筑摩書房。1974年。379-380ページ)

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九月二十一日 宮澤成次郎・イチあて 封書

 

 《表》父上様 母上様

 

この一生の間どこのどんな子供も受けないやうな厚いご恩をいたゞきながら、いつも我慢でお心に背きたうたうこんなことになりました。今生で万分一もついにお返しできませんでしたご恩はきっと次の生又その次の生でご報じいたしたいとそれのみを念願いたします。
どうかご信仰といふのではなくてもお題目で私をお呼びだしください。そのお題目で絶えずおわび申しあげお答へいたします。
   九月廿日

賢治

父 上 様
母 上 様
 


 
 〔九月二十一日〕 宮澤淸六・岩田シゲ・宮澤主計・クニあて 封書

 

 《表》清六様

 

たうたう一生何ひとつお役に立たずご心配ご迷惑ばかり掛けてしまひました。
どうかこの我儘者をお赦しください。

賢治

  清 六 様
  し げ 様
  主 計 様
  く に 様